【図解】コレ1枚で分かる「bot(ボット)」
「来週の金曜日のお昼頃に福岡に到着できる羽田からの航空券を予約して。」
「来週の金曜日というと、〇月〇日のことですね。ご希望の航空会社はありますか?」
「できればいつも使っているところで予約してみてくれないか。もし空いていなければ、他でも構わないよ。」
「以下のフライトでは如何でしょうか?」
【予約可能なフライト一覧を示す】
「それじゃあ、XXX123便を予約して。」
「承知しました。座席はどちらがいいでしょう。いつもご希望される窓側はいっぱいですから、通路側でもいいですか?」
「じゃあ、それでお願いします。できれば、前の方でね。」
「承知しました。支払いはいつものクレジットカードでいいですね。」
「いいよ。」
「予約しました。確認メールを送りましたので、ご確認下さい。」
あなたの秘書とやり取りをしている訳ではありません。FacebookやLineといったスマートフォンのメッセージ・アプリでのやり取りです。
様々なオンラインサービスを、普段使い馴れている「テキスト(文字)・メッセージ」アプリを使い、日常の対話のように利用できる仕組みが登場しています。「bot(ボット)」と呼ばれるこの仕組みは、ITと人との係わり方を大きく変えてしまうかもしれません。
このbotを使ったオンラインサービスには航空券の予約以外にもいろいろと考えられています。
商品検索とオンライン・ショッピング
銀行の取引残高の確認や振込手続き
ライブ・コンサートの検索とチケットの予約
スケジュールの確認とアポイント・メールの送信
タクシーの呼び出し
天気予報の確認
スポーツの対戦結果の照会 など
これまで、秘書や受付担当者といった人間が仲介者となって、対話から相手の意図を確認し、処理していた作業をbotが代わりにやってくれます。
botとは、「ロボット(ROBOT)」から生まれた言葉で、人に代わって作業を行うコンピューター・プログラムのことです。botが登場した当初は、次のような単純作業を行うのが一般的でした。
また、botをマルウェア(不正なことを行うソフトウェア)として、パソコンに侵入させ機密情報を搾取したり、他人のパソコンを乗っ取って第三者にサイバー攻撃をしかけたりといった用途にも使われています。
最近では、冒頭で紹介したように、
人間が日常使っている言葉や表現を理解する
曖昧な表現から意図をくみ取る
日常の会話で使われる自然な表現で応答する
といったことを、人工知能の技術を使って実現したbotが登場しています。また、テキストではなく音声を認識させる技術を組合せ、音声による会話で様々な処理をしてくれるものもあります。
このような「進化したbot」が使われる以前からグラフィカルな操作画面(GUI:Graphical User Interface)を使って、操作を簡単に、直感的に行えるような取り組みは行われてきました。
しかし、操作の1つひとつにルールが定められているうえに、アプリごとに操作の違いがあって、必ずしもうまくいっているとは言えません。
一方、テキストや音声での対話であれば、普通に会話をするように操作や指示ができるようになります。そうなれば、ITは「難しいから使えない」や「怖いから使いたくない」と考えている人たちの壁を引き下げ、利用者の裾野は広がり、利用の頻度も高まります。
この技術はオンラインサービスばかりではありません。家電製品や自動車などのモノの操作にも使われはじめています。例えば、
カーナビ:目的地の検索や設定
エアコン:温度調整
テレビやビデオ:番組検索や録画予約 など
「進化したbot」はそんな「難しいIT」と「自然な人間」を仲介してくれる仕組みとして、ますます普及してゆくでしょう。